富裕層に入るか?、貧困か? 子供の頃に決まる現実。 『下剋上受験』桜井信一著。

 貧富の差、「格差社会」は問題、という風潮もありますが、
安い賃金で労働する貧困層と、
豊かでお金持ちの富裕層が、
大きく二極化。

現実的に、この収入額の格差は、今後ますます、大きく広がっていき、

富裕層、か、貧困層。 二択でそのどちらか一方に入る時代が来ているそうです。

 今ある、富裕層と貧困層の間の「中間」の仕事は、AI(人工知能)がこなすなどで消滅し、今まで、存在しなかった職業に、多くの子供たちがつくそう。


 その情報を良く知っている方々(とくに今の富裕層)は、

幼いころから子供にお金をそそぎ、出来得るかぎり、最良と思われる教育をして、成績上位、ハイクラスの層に入れようとされる方が多くいらっしゃいます。

  いつの時代も、学歴がなくても、実力で上になり、勝ち組に行ける人は存在しますが、少数派。

 我が子にそこまでの才能が、あるかないかは分からない、子供の時代に、
多くの親は、子供に学歴をつけ、勉強させて、実力をつけさせようと努めます。

 

 さて、『下剋上受験』 桜井信一 著は、

 そういう富裕層と逆? 厳しい中卒の現実を、体験したお父さんの書いたノンフィクション。

下剋上受験[文庫版] ―両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!

下剋上受験[文庫版] ―両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!

 

 

 著者の桜井信一さんは、中卒で、
「学歴が中卒」と知っただけで、人が離れていくような世界に直面しながら生き、
自分の娘には、もっと上の違う世界で生きてほしい、と願い、
娘さんの超一流の中高一貫校の合格を目指して、親子で猛勉強し、
階層の逆転を狙う「下剋上(中学)受験」の話。

 この本を読むと、
自分の子供にも中学受験をさせたいと思う親御さんも多くなるかも。


 超一流校出身の親御さんの子供は、
その収入と意識で子供を教育し、
また子供が超一流校に入学、卒業することが多く、

中卒の親御さんの子供は、超一流の学校に行くことが少ない。
それは、親子代々、延々と続き、その階層の中で生きていくことが多いのだ、ということが書かれ、

著者の娘さんの中学受験への強いモチベーションになっているのですが、

学校を卒業し、社会人になってしまってからでは、
ずっとその世界(階層)で生きていくことになり、
めったなことで、逆転は許されない現実に、

娘が子供のうちに、
この階層の逆転を狙い、
娘には自分と同じ世界ではない、もっと高い世界で生きてほしいと願った、
下剋上(中学)受験のノンフィクション。

 社会には、本当にそういう勝負があり、見えない階層があるという現実を、
実はよく知っていながら、
今いる場所に、自分自身を納得させ、
現実にある差別から目を背けて、
自分より下をみて、なんとなく自分を慰め、満足し、
立ち上がらないで過ごすことも多いように思います。

「中卒」といえばインパクトがありますが、
実は「高卒」にも「大卒」にも、それはあり、

本当に今いる場所でいいのか?
自分がそれで満足しているのか?

何かできること、したいことがあるのではないか?

と問いかけてくるようです。

 その人が一生で稼げる金額は、意外と若いうちに決まり、途中からの逆転はめったになく、
子供のころにも、その決定は始まっており、
本人が自覚するころには、勝負が終わっている、ということもあるので、
そのことを意識する親が、教育に力を入れているのが、
今、注目されている中学受験かもしれません。

中学受験をする理由は、東大合格者の多数派が中高一貫校出身など、
難関大学の合格率の高さにあるようですが、

東大に合格しても、「東大」ということだけでなく、高校などの出身校を問われる風潮もあるそうです。
(もはや、高すぎる世界で意味不明です(笑))

 身分や、出身で差別されない「学歴社会」は、
ある意味、平等な社会だと、以前に聞いたことがあるのですが、

どこの家に生まれたかなど、
生まれた瞬間に、すでに決まっているのではなく、
あくまで本人(家族)の努力で上を目指せる。

 格差社会の現実が実際にある以上、
少しでも上を志して努力するのは、素晴らしいことなのかも、と、本を読んで思いました。

 

下剋上受験[文庫版] ―両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!

下剋上受験[文庫版] ―両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!

 

 

 

  

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